サン・マルタン門近くの劇場で、「お馬鹿さんの夕食会 (le Diner de cons)」を見る。 かつてフランスでヒットした芝居の再演で、映画版(邦題「奇人たちの夕食会」)も大ヒットし、日本でも2000年に陣内孝則主演で上演された作品。 自分のまわりにいるもっとも「お馬鹿」で「お間抜け」な人間を、本人にはそうとは知らせず夕食会に招待して、仲間同士で物笑いの種にして喜んでいる男が、自分が招いた極め付きの「お馬鹿」な男のために、妻に逃げられ、愛人を失い、税務署に目をつけられ、散々な目にあうというコメディー。 三谷幸喜風のシチュエーション・コメディーなので、ある程度フランス語ができないとおもしろくないかもしれないが、笑いの質がストレートだし、くだけた会話ながら一定以上の社会・知的階級のちゃんとしたフランス語なので、教科書フランス語のレベルでも十分楽しめる。オーバー・アクションだし。 でも、笑いがストレートな分、ちょっとドン臭くて、同じシチュエーション・コメディーでも三谷の方がずっと洗練されているように思う。最後が教訓じみた展開になるところは三谷の弟子の福島三郎あたりの雰囲気かも。特に、極め付きの「お馬鹿」を演じた役者の動きがミスター・ビーン調だったのが安易な印象。 今回は、アーサー(Arthur)というテレビの司会者としても有名な人気役者が、散々な目にあう主人公役で出演していることもあって、劇場は満員。 劇場のあるサン・マルタン門近辺は、日本のガイドブックではあまり治安の良くない場所とされているが、行ってみたら、下北なみに劇場が5軒も集まっている劇場街だった。この芝居が上演されたサン・マルタン門劇場も、18世紀にもともとオペラ座として建てられ、アレクサンドル・デュマやビクトル・ユーゴも作品を上演させたことのある由緒ある劇場で、半円形の客席、赤い絨毯に、赤い緞帳、赤い肘掛椅子と、典型的なヨーロッパの小さな劇場。壁のシャンデリアも可愛い。パリって、こうゆう劇場が今もたくさん残っているのね。 作・演出:Francis Weber 出演:Arthur、Danny Boon 他 Porte Saint Marin劇場
by MadameSanma
| 2007-10-13 16:38
| イベント&スペクタクル
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