映画俳優としても有名なランベール・ウィルソンの演出でラシーヌの悲劇「ベレニス」を見る。 ローマ皇帝のティテュスとパレスチナの女王ベレニスは5年前から愛し合っていたが、外国人との結婚を認めないローマの法律ゆえにティテュスはベレニスに別れを告げるというきわめて単純なストーリーであるが、激しい情念と美しいアレクダンドランの詩句に満ちたラシーヌの名作。 劇場がとにかくすばらしい。19世紀に作られた古い劇場で、構造は世田谷パブリックシアターみたいな半円形なのだが、わざと修復せずにレンガとむき出しの石のままの内装が古色蒼然として、まるで古代ローマの遺跡のようで、この雰囲気の中で古代ローマに題材をとったラシーヌの古典劇を演じるのだから、もう舞台装置なんて一切必要なく、この劇場を選んだ時点で、芝居の3分の1は成功したようなものかも。このテアトル・デ・ブッフ・ドュ・ノールは、イギリス人の演出家ピーター・ブルックの本拠地でもある。 演出も、この劇場のむき出しの迫力に呼応するかのようにオーソドックスかつシンプル。 ウィルソンは、この作品にこだわりがあるようで、すでにアヴィニョンの演劇祭などで2回演出を担当いるが、いずれも批評家の評判はイマイチで、今回3回目の挑戦。ベレニス役は、やはり映画俳優としても日本でも有名なキャロル・ブーケ。ウィルソン本人もティテュス役で出演。 早めに劇場についたので、場内のカフェでコーヒーを飲みながらふと横を見たら、隣の席に、ランベール・ウィルソン本人が座って友人とおしゃべりしていたので、びっくり。回りのフランス人もみんな気付いているはずなのに、誰もジロジロ見たりしないし、まして携帯で写真を撮る人もいなくて、なんて大人の反応と感心。なのでさすがの私も写真を撮る勇気がなくて、残念。この写真のすぐ脇に座っていたのに。 作:Jean Racine 演出:Lambert Wilson 出演: Carol Bouquet, George Wilson, Lambert Wilson, Fabrice Michel... THEATRE DES BOUFFES DU NORD 37 bis, bd de la Chapelle 75010 PARIS トップの写真はFNACのサイトから拝借。
by MadameSanma
| 2008-02-09 17:09
| イベント&スペクタクル
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